えっ! 放射能を体にいれるの!?


私事でございますが核医学検査も担当するようになり数年たちました。ひとつ印象的だった経験があります。それが「今日の検査って放射能を体に注射するのよね?なんだか怖いわ!」という患者さんのつぶやきでした。放射能という言葉を聞くと、すぐ原子爆弾をイメージしてしまい、とても怖いものに感じてしまいます。また、福島第一原子力発電所事故の影響もあって放射能 = 悪いもの!のイメージしかない方も大勢いらっしゃるのではないかと思います。
今回はこの放射能という言葉と核医学検査で使われる放射性検査薬について簡単にご説明させて頂き、核医学検査の安全性についてお話させて頂きます。当院にご紹介頂く患者さんへの検査説明の一助となれば幸いです。

放射線=放射能?

放射能という言葉が一般的な使い方として放射線物質と同じ意味合いで使用されていることがありますが、放射能というのはその物質が放射線を出す能力の事を言います。ですから一般的に用いられるところのそれは放射性物質です。

放射性物質に寿命あり!

放射性物質は放射能を持つ物質の総称です。そしてこの放射性物質には寿命があります。
放射性物質は物理学的に不安定な状態であると表現されています。その不安定から安定に落ち着く過程で放射線を放出していきます。そして安定まで行けば放射能を失うことになります。若い頃はエネルギーをもてあまして極悪と呼ばれたような不良が、その有り余るエネルギーをラグビーに向け、花園を目指し、その後立派な社会人として安定自立する感じというとイメージしやすいでしょうか。。。

 

 

いつまで続くの?反抗期!?

その安定化するまでの時間を表すのが放射性物質の半減期と呼ばれるものです。これは放射能が半分になる時間を表しています。当然、この時間が短いほど放射線の影響を受ける時間が短くなります。

人生いろいろ?

放射性物質が安定化するまでの時間は放射性物質の種類によって違います。半減期が年単位のものや数秒まで様々です。かつての総理大臣の言葉を借りると、人生色々、会社も色々、放射性物質も色々となります。

核医学検査薬は短命!

半減期が短いほどその影響は短くなりますから、被ばくという観点からすると有効です。ちなみに原発で問題となる放射性物質としてよく挙げられるのがセシウムです。セシウムにも種類があるのですが、半減期が長いものだと約30年です。それに対し核医学検査でよく使われるのがテクネシウムというもので、半減期6時間となっています。ですので、セシウムと比べると比較にならないほど短いと言えます。

以上放射能から放射性物質そして半減期までご紹介させて頂きました。
半減期の短さからその安全性についてご説明させて頂きましたが、少ないとは言っても放射性物質です。無駄な被ばくや汚染などないように日々注意して検査を行うように努めています。最後に核医学検査の一般的な被ばく線量についての資料を添付します。
核医学担当 保田