外傷による肩関節の撮影で注意している点


今回は交通事故、その他の外傷による肩甲骨の撮影法と注意している点について書かせて頂きます。
私自身の学習を含めはじめに肩関節の構成から説明します。肩関節は肩甲骨・上腕骨・鎖骨からなり、肩甲骨関節窩に上腕骨頭が入り込み肩甲骨肩峰と鎖骨外側とで肩鎖関節を作っています。
外傷での正面撮影は範囲を広くして肩全体を撮影します。各部位に大きな骨折がないか、脱臼していないかをまず確認するためです。

外傷撮影こそ腕の見せどころ!

次に正面撮影で分かりにくい部位を斜位撮影にて観察します。斜位像では正面像より上腕骨の骨折線をはっきり描写できる事がよくあります。また、この時に上部肋骨の骨折が判明する場合もあるので斜位像は欠かせません。
患者さんはストレッチャーにて搬送されてくる場合が多いので立位で撮影が出来ません。その場合斜位撮影は臥位のまま患者さん自身に体を斜めにしてもらうので痛みで体動があると画像にブレが生じ、再撮を行うことがあります。

小さな骨折線も見逃しません!

肩関節の中でも肩甲骨の撮影は難しいと思ってます。肩甲骨は薄いため小さな骨折線は分かりづらく烏口突起の骨折線は上腕骨頭と重なり、また肩峰は鎖骨と肩鎖関節をなしているため一枚の画像に全ての骨折線を描写する事は出来ません。そのため、肩関節を撮影するには正面像・斜位像・軸位像(スカプラY像)の3方向がそれぞれ重要となります。右の画像は自転車で転倒された方の画像でスカプラY像で骨折線がはっきりと描写されてます。

今後も、先生の診断に役立つ画像を提供していきたいと思っております。
青木