心臓MRI検査には、虚血性心疾患や心筋疾患の心形態及び心機能評価や心筋viabilityなどの評価を行う心臓MRI(Cardiovascular MRI : CMRI)検査と、冠動脈の形態評価を行う冠動脈MR Angiography(MRA)があります。
心臓検査の場合、心電図同期を行って撮影するため検査時間も多少異なりますが、CMRIは50~60分くらい、冠動脈MRAは20~30分くらいかかります。また不整脈があると、もう少し検査時間が延長します。
今回はCMRI検査、実際どんな内容を撮影しているのか順に紹介します。
1.Localaizer(ロカライザー)
撮影断面を決めるための位置決め画像です。
横断・冠状断・矢状断の3方向撮影します。
2.Fiesta(フィエスタ)
心筋のシネ撮影です。心臓の形態と機能評価が可能です。
4方向(2chamber・short axial・4chamber・3chamber)撮影します。
3.脂肪抑制T2
心筋の炎症や浮腫を評価する撮影です。
3方向(short axial・2chamber・4chamber)撮影します。
4.T1 mapping(T1マッピング)
心筋のT1値(T1緩和時間)を定量的に測定する撮影法です。心筋ダメージを定量的に評価できるため、梗塞、肥大型心筋症、心筋炎、アミロイドーシスなどの検出に有効であると言われています。
5.Gd造影(パーフュージョン)
以前は負荷心筋パーフュージョンも行っていましたが、現在は安静時のみのパーフュージョンを行っています。造影剤のfirst passの動態撮影で心筋血流分布を評価します。
6.Early enhance T1(早期造影)
パーフュージョン撮影後、早期ガドリニウム造影を撮影することで、微小循環閉塞(MO)を診断目的とするため撮影します。
7.Delayed enhance (遅延造影)
心筋梗塞急性期の心筋壊死や、心筋梗塞慢性期や心筋症の線維化病変を高信号に描出する撮影法です。3方向(short axial・2chamber・4chamber)
撮影します。
心臓の検査は、心拍や呼吸、磁化率変化の影響を非常に受けやすいため、アーチファクトの影響も考慮しなくてはいけません。そのため、多断面撮影することで異常所見の見逃しがないようにしています。1回の息止めは10秒前後ですが、すべての撮影が終わると50分くらいかかってしまいます。長時間の検査はきついですが、検査前には患者さんにきちんと説明し、理解してもらってから検査するようにしています。患者さんの協力なくして、十分な画像は撮影できないと思っているので、検査前の数分間のコミュニケーションを大切にしています。
MR担当 平野