核医学装置が 更新されました!


2010年3月よりおよそ14年間稼働していました「Infinia」は2月17日をもってその役目を終えました。設備改修を伴う1か月ほどの更新工事を経て3月13日より新規核医学診断装置「NM/CT 850」が稼働開始となりましたので、新装置「NM/CT 850」の特徴をご紹介します。

1 新コリメータとSwift Scan

新コリメータ「LEHRS(Low Energy High Resolution Sensivity)」は、従来コリメータの分解能の良さを保持したまま、感度が大幅にアップします。さらにSwift Scanというアプリケーションも付帯されます。これにより、検出器が移動する際のデータ収集も可能となりWhole Body収集(全身像撮影)、SPECT収集(断層撮影)ともに最大25%の収集時間短縮が実現します。

2 新しい解析ソフトウェア/アプリケーションの搭載

新たな解析ソフトウェア/アプリケーションを導入します。代表的なものを幾つかピックアップしてご紹介します。

<DAT Quant(ダット クオント)>
ドーパミントランスポーター・イメージング(DATスキャン)にて視覚的評価、自動ROI解析、ノーマルデータベースとの比較を行います。線条体への集積については左右の尾状核、被殻と分けて評価を行います。従来のDAT Viewに加わることで、より詳細な評価が可能となります。

<Q Metrix(キュー メトリックス)>
SPECT SUV(SUV : Standard Uptake Value)の使用で診断に定量的評価が加味されます。

<Q Lung(キュー ラング)>
肺機能の定量評価を自動区域分け機能でより正確に、簡便に行えます。

<DOSIMETRY TOOLKIT(ドジメトリー ツールキット)>
経時的に取得した画像から、目的臓器毎の放射性医薬品の滞留時間を算出します。昨今の放射線内用療法でも注目されています。

3 短時間収集を可能とする様々なテクノロジー

操作性が簡便で、多軸同時駆動により素早くガントリー(検出部)が稼働し、ポジショニングの短縮が達成されます。前装置より引き継がれたEvolution(分解能とノイズを改善する画像処理,従来はSPECTのみ適応)は適応が拡大され、画質を維持しつつ収集時間の大幅な短縮が可能となります。

4 操作性と再現性の向上

複数同じ部位を撮影する際の位置決めの再現性が向上、撮影手技を変更追加するときの操作の切り替えのスピードが格段に向上しました。

5 吸収補正用CT搭載型SPECT装置

NM/CT 850にはCT管球が搭載されています。吸収補正を目的とするため、使用する管電流は30mAで低線量であり低被ばくです(診断用CTは数百mA)。SPECT画像における集積部位の位置情報取得および集積程度の評価精度向上が達成されます。前述2で挙げました「新しい解析ソフトウェア/アプリケーションの搭載」にも応用されています。なお、新装置NM/CT 850で得られましたCT画像を一般的な診断画像として供出することや画像診断をすることはありませんのでご承知おき願います。SPECTとCTのFusion画像につきましては診断用CTで撮影された画像を用いて作成させていただきます。

核医学担当 荒田