近年のCTやMRI等の検査における提供画像は、装置から得られる断層画像だけでなくその断層画像データを元に作成する3D画像の構築も一般的に行われています。(図1)
そこで今回は、従来行ってきた画像処理方法と近年の新技術について当院で実際に使用しているワークステーションの画像処理機能を例に挙げてご紹介したいと思います。
3Dってこんなに見える!
まず始めに、当院で行なっている3D処理画像の一例をお示しします。見て頂くとわかるように、空気(大腸)・血管(造影剤)・骨等あらゆる部位で3D画像が利用されています。(図2)これらの画像処理の共通点としては、各組織のCT値の違いを利用しているところにあります。(図3)
3D画像処理では、注目したいCT値以外を表示しない設定にして(=しきい値を設定して)目的の組織のみが描出されるようにします。例えば骨のみの3D表示であれば骨以外が表示されないCT値をしきい値として設定することで、そのCT値以外の物質は非表示となり骨のみが表示できます。(図4)
これぞ、3D画像作成の極意!
関節面を評価する画像処理
前述した骨と軟部組織のように、CT値の差が大きい組織同士を分離して表示するのは簡単な作業です。しかし、CT値が近い物質が隣接する場合、細かいしきい値設定を行いながら不要な組織を除去する作業が必要になり、画像作成に時間がかかることや、うまく分離できない場合もあります。(図5)
ついになくなる?職人技!?
自動分離機能の紹介
“CT値の近い物質を分離する”という難しい課題を近年新たに加わった「自動分離」機能は残したい部分をクリックするだけで解決します!(図7)
この機能を用いることにより、従来の作成方法と比べてより早く簡単に画像作成が可能になりました。
最後にこの機能が有用であった症例を一例紹介します。
新しい機能をより味方に!
自動分離機能によって、より有益な画像の提供を簡単かつ短時間に提供できるようになりました。しかしながら自動分離機能の精度は高いものの、中には上手く分離されない症例もあります。その場合はこれまでに培った画像処理技術を生かして3D画像を提供するため、やはり職人技術を磨くことも大切だと思います。
近年はCT装置だけでなく、画像処理装置等の進歩も早いと感じます。基礎的な技術と新しい技術をいち早く取り入れ、より良い画像提供が行えるように努めていきたいと思います。
X線CT認定技師 江上 桂