今月の症例(胸部レントゲン)


76歳男性、喫煙者。2016年5月の検診で異常を指摘されました。下の画像から考えられる疾患は?

2014%e5%b9%b48%e6%9c%88%e8%83%b8%e9%83%a8%e6%ad%a3%e9%9d%a2

2016%e5%b9%b45%e6%9c%88%e8%83%b8%e9%83%a8%e6%ad%a3%e9%9d%a2

 

解答:右下肺野結節影の出現

%e8%a7%a3%e7%ad%942014%e5%b9%b48%e6%9c%88%e8%83%b8%e9%83%a8%e6%ad%a3%e9%9d%a2

%e8%a7%a3%e7%ad%942016%e5%b9%b45%e6%9c%88%e8%83%b8%e9%83%a8%e6%ad%a3%e9%9d%a2

2014年8月の胸部単純写真と2016年5月の胸部単純写真をよく見比べると、右下肺野に結節影が新たに出現しているのがわかります。

%e8%83%b8%e9%83%a8ct

CTでも、右中葉の不整形の高吸収結節は、形態的には炎症瘢痕様にも見えますが、2014年から2016年にかけてやや増大していることがわかります。この方は当院で手術が施行され、病理の結果は腺癌でした。2016年5月の胸部単純写真では異常はややわかりにくいと思われますが、前回と比較するとはっきりしてきます。やはり、比較は非常に重要ということがよくわかります。今回の症例では単純写真もそうですが、胸部CT上瘢痕様でしかも、発育も非常にゆっくりとなっています。渡邊らの初回CTで瘢痕様陰影を呈した肺癌の39例の検討では、特徴として男性、喫煙者、既存肺に変化のある症例に多く、腫瘍の倍加時間が短く、特に既存肺変化群で予後不良例が含まれるため注意が必要で、初回CTから2-3か月以内のフォローが望ましく、その後のフォローも必要と述べています。
文献:渡邊 創ら。初回のCT画像所見が瘢痕様陰影を呈する肺癌の検討. 肺癌2009;49:1011-1018