今回は尿管結石の治療を行うESWL装置についてご紹介したいと思います。その前にご存知の先生も多いかと思われますが、専門外の先生やスタッフもいらっしゃるかと思いますので、まず尿管結石について簡単に復習してみたいと思います。
●尿管結石について
尿管結石とは「尿路」に石ができる病気で、その素材は尿に溶けこんでいるカルシウムやシュウ酸、リン酸などです。これらのミネラル物質が何らかの原因で結晶となり、有機物質も巻き込んで石のように固まってしまうのです。
なぜ石が出来るのかは尿路感染、代謝異常、ホルモン、薬など、原因のはっきりしているものもありますが、およそ約8割は原因不明です。2:1以上の割合で男性に多い病気です。
いったんこの結石ができると、石が細菌を増やし、細菌は石をますます成長させるという悪循環が起こり、腎盂腎杯の形そのままのサンゴ状結石となりやすいのが特徴です。
●サンゴ状結石
サンゴ状結石とは、結石関連物質が種々の条件下で結晶化し増大した結石が二つ以上の腎杯におよぶもののことをいいます。最近では、サンゴ状結石に対して経皮的腎結石摘出術(PNL)を行うことが多いですが、併用してESWLを行うことがあります。ESWLは体に傷をつけずに治療することができるという利点がありますが、サンゴ状結石の場合は大きい結石なだけにリスクもあります。そのひとつが“stone street”(ストーン・ストリート)と呼ばれる破砕した細かい結石の小片が尿道に詰まってしまう状態です。この状態になってしまうと尿管が結石により閉塞され腎機能の低下を引き起こす可能性があります。この状態になってしまった場合は、ダブルJなどの尿管ステントを挿入して再度ESWLをおこなって徐々に排石させていきます。次に実際に当院で行われた症例をご紹介します。
当院で行ったサンゴ状結石のESWLによる破砕
73歳男性。肉眼的血尿で来院され、CTでサンゴ状結石と診断された患者さんです。
そのサンゴ状結石に対してESWLを行いました。その結果、破砕されたものの“stone street”となりダブルJステントを挿入しました。その後少しずつ排石され腎機能も改善してきました。まだ尿管内に結石が残っているためダブルJは抜去できませんが、尿管内から排石されると抜去できます。少しずつ破砕の効果はあり、腎臓に残っている結石もそのまま大きくならなければフォローできます。当院のESWLは初回は入院していただくことが多いですが、その後は通院での治療が可能となります。尿路結石症は再発する頻度が高く、結石治療後も定期的受診による再発有無の確認、再発予防のための生活指導が重要になります。これから暑い季節になってきますと発汗などで水分不足になりがちです。水分補給もひとつの予防策になるので、水分補給を心がけるのもよいそうです。 (北畠 智子)