新しい乳腺生検装置が入りました


2023年3月に生検装置(ステレオガイド下吸引式生検装置)をリニューアルし、同年5月より運用を開始いたしました。
以前はデヴィコア社製「マンモトーム」を使用していましたが、物品販売の終了に伴いメディコン社製「エンコア」(写真1)に更新しました。
今回は吸引式生検装置「エンコア」についてご紹介したいと思います。

ステレオガイド下吸引式生検とは?

ステレオガイド下吸引式生検とは、マンモグラフィ画像上で位置を特定し、吸引式の針を使用して行う生検のことです。主に超音波装置で見えにくい石灰化などの採取をすることに優れています。
超音波検査下で行う針生検(CNB)に比べ吸引式乳腺組織生検(VAB)は太い針を使用することや組織を吸引して採取することにより、採取量が針生検より多くなります。また、1回の穿刺でCNBでは基本1本の組織採取ですが、VABでは針を回転させて360°自由な方向から採取が可能になるので複数の組織が採取できます。
しかし、太い針を使用するので出血や採取部位に血腫ができるリスクがあります。また、あまりに乳房厚が薄い方などは採取が難しいことがあります。
下図は当院で施行したステレオガイド下吸引式生検画像です。

ステレオガイド下吸引式生検も進化してます!!

当院では、ステレオガイド下吸引式生検を2010年より開始し現在に至ります。開始当初は現像したフィルム上で石灰化を特定し行っていた操作も、今ではデジタル化され撮影した画面上で石灰化を特定し採取位置を決定することができます。さらに今回の新しい装置では、生検装置自体にタッチパネル式の操作画面が備わっており操作性がとても良くなりました。以前は手動で採取方向へと針を回転させていましたが、タッチパネル上で採取したい方向の選択が可能になり、選択した方向へ自動で回転し連続で採取できるようになりました。それに伴い採取時間が短縮されました。
また、血腫予防のために生理食塩水を使用して穿刺位置の洗浄や吸引を行うことができるようになりました。
VABは使用する針の開口部を開口させて、その開口部から吸引させて組織を採取するため、開口部が全て乳房内に挿入されていないと吸引圧がうまくかからず組織も十分に採ることができません。そのため、乳房厚や病変部の深さなどがとても重要になります。今回の装置では「ハーフモード」という開口部を半分だけ開口させて採取することができるようになりました。(写真2)そのモードが備わったおかげで乳房厚の薄い方(20mm前後)も許容されるようになりました。