大腸CT検診スタートから4年で見えてきたもの


大腸CT検診について

大腸CT検査は適切な前処置を行った上で肛門部にカニューレを挿入、炭酸ガスを逆行的に大腸内に注入し続けた状態で腹臥位、背臥位の2体位(必要であれば側臥位も追加して)撮影を行います。さらに撮影データは画像ワークステーション(当院ではziosoft社のziostation2を使用)にて解析・観察します。
全大腸検査のGolden Standardといわれる大腸内視鏡検査と比べて、被検者の苦痛が少なく、多種に渡る画像解析(仮想大腸展開画像①や仮想内視鏡画像②、仮想注腸画像③など)を駆使して、多角的な読影が可能です。
大腸がんは我が国で増大傾向にあり、検診分野のさらなる普及が予想されます。当院では2018年11月より大腸CT検診を開始いたしました。院内掲示や当院ウェブサイト等で募集を行ってまいりましたところ、栄区や近隣の市区以外の地域からもお申し込みをいただいております。

大腸CT検診の前処置について

当院大腸CT検診の前処置法④は、検査前日の大腸CT検査食3食に加えて、毎食後、大腸CT用バリウム(商品名;コロンフォート)を服用し、検査前夜にマグコロール散50gを400mlの水にて溶かし服用するという方法をとっています。
全大腸内視鏡検査に行うゴライテリー法(検査当日にニフレックを約2,000ml服用)に比べて受容性が高く、自宅にて安全に行うことができる前処置法であります。食後に服用する大腸CT用バリウムは解析時に、病変と残渣を区別するために、残渣に標識する目的(fecal tagging)で服用しております。多少残液が残っていても、均一に標識されていれば病変との鑑別は容易になり、読影時間が短縮できるというメリットがあります。

検査精度について

検査精度についてお示しいたします⑤。大腸CT検診は4年間で75名(ボランティア含む)の方が受検されました。受検者の内訳は、男性46名、女性29名で年齢は29才~80才(中央値60才)でした。受検者75名中、異常なしは37名(49.3%)、経過観察(1年後に大腸CTもしくは大腸内視鏡を受検推奨)が、21名(28.0%)、要精密検査対象の方が11名(要精検率9.1%)いらっしゃいました。そのうち8名の方が精密検査(大腸内視鏡検査)を当院消化器内科で施行した結果、早期大腸がんの方が1名(1.3%)いらっしゃいました。また、大腸CT検査の所見と大腸内視鏡検査の所見が一致した方が8人中6人で陽性反応的中率は75.0%でした。その一方で腸管拡張不良や前処置不良等の理由により、大腸の一部が判定不能となってしまった方も6名(8.0%)いらっしゃいしました。

今後の課題

判定不能例をさらに少なくすることが望まれます。前処置の方法を今後改善していくことになると思うのですが、受検者によって状態もまちまちであることや、受容性と腸管洗浄効果はトレードオフの関係ですので、今後慎重に検討、対応することが必要と考えます。今後も地域の皆様に良質な検診をご提供できるように研鑽してまいります。

横山