“造影”という言葉をこちらのブログでは何度もご紹介しておりますが、実際の使用方法などについてお話したことがなかったかと思います。今回は造影CT検査の実際についてお話しさせていただきます。
見えないものを見えるように
ご存じかと思いますが、造影というのは影を造る書きますが造影剤はまさしくそのような薬です。見えないものを見えるようにしてくれます。CT用の造影剤には数グラムのヨードが含まれており、このヨードがエックス線に吸収されやすいので、写真によく写る、すなわち影を造るということになります。
まるでハイボール?濃いめと薄めと大容量と・・
CT用の造影剤には種類があり、容量と濃度などの違いがあります。
容量は造影剤の量で、体が大きい人は大容量のものを、小さい人は少ないものを使います。
濃度は造影剤の濃さを表すもので、これは写りにくいような細かい部位を撮影するときに使います。代表的なものは頭の血管撮影や心臓血管撮影といった血管径が5mm以下のようなものの撮影で、高濃度造影剤100ccを25秒という非常に速いスピードで注入しています。血管にリボビタンD 1本分の量を25秒で入れると想像してください。かなり速い速度で入れていることがわかるかと思います。
造影剤はねばっこい?
あまり知られていないのですが、造影剤は少しねばねばしています。これを血管内の細い針先から高速で入れるには結構な力が必要となります。そこでインジェクターという装置を使って注入しています。これを利用すると、短時間に正確な量の造影剤を注入できます。
しかし、血管が正しく確保されていることが重要です。しっかりと針が血管の中に入っていないと、あっという間に100ccの造影剤が皮下に漏れてしまいます。ですので、造影検査は血管確保がとても重要な検査となっています。
静脈からの注射で動脈血管を簡単に評価できる造影CTですが、実際にはこのように慎重な手技が必要とされる検査となっています。
放射線科福技師長 保田