認知症検査入院と画像検査について


当院では認知症検査入院を今年から開設いたしました。認知症関連疾患においては、患者さんの不安は最もですが介護者の負担も大きいことは最近ではよく知られている事柄ではないでしょうか。介護生活そのものの負担も大きいですか、その診断に至る過程でも大きな負担がかかるかと思います。患者さん自身の不安に寄り添うことや、検査や診察の度に病院へ連れ添うのも大変であろうかと感じます。入院で一通りの検査や診察が受けられるのであれば、働く世代の負担も多少ではありますが軽減されるものと思われます。

認知症検査入院の検査内容といたしましては、脳血流-MIBGシンチ、認知機能検査-神経心理検査(臨床心理士)、 頭部MRI-VSRAD(ブイエスラド)、神経内科診察などが含まれております。
今回は認知症関連画像検査について、代表的な二つの検査(脳血流シンチ・頭部MRI)について簡単にご紹介します。

認知症を対象とした画像検査(脳血流シンチ・頭部MRI)について

認知症疾患を対象とした頭部MRIは、脳の形をみる検査となります。脳そのものの形や、脳以外のものが写っていないか、腫瘍がないか、脳室が大きくなっていないかなどの形を評価した所見をみることができます。
脳血流シンチは、放射性同位元素の動態を追いかけることにより、脳への血液の流れ具合を見ています。MRIが形を評価していますが、こちらは機能を評価しています。

画像所見を数値化してより分かりやすく

そして、このそれぞれの特徴を生かした画像解析手法を用いることで、画像だけでは認識しづらい軽微な所見も評価することができるようになってきています。VSRADやe-ZISといった解析ソフトウェアがそれにあたります。
頭部MRIでは形態的に画像を評価する特徴を生かし、正常患者さんの脳の形態と比較して評価するソフトウェアが用いられており、VSRADと呼ばれるソフトウェアになります。
脳血流シンチでは脳血流の分布について、正常患者さんの脳血流分布と比較して評価するe-ZISというソフトウェアが用いられています。あたかも脳の偏差値のようですね。

画像検査については放射線科紹介でも対応しています

入院できれば家族負担は減るものの、患者さん自身が入院という形に納得しないということもあるのではないでしょうか。認知症はとてもナイーブな疾患であるかと思いますので、「家族が一緒に来てくれるから検査を受ける」、「昔からお世話になっている先生に診察してもらいたい」というケースもあるかと思います。当放射線科ではそのような場合には外来で、脳血流シンチや頭部MRI-VSRAD(ブイエスラド)検査を行うことが可能です。現在、地域の先生からもこの様な依頼をうけて検査を行っております。画像検査のみが必要な場合にはご利用ください。
地域の皆様のためにも多様な検査ニーズに対応し、一億総活躍時代のシステム構築に貢献できればと考えております。

CT.MRI室主任 保田英志