MRIは撮影パラメータを操作する事でT1強調画像、T2強調画像といったさまざまなコントラストの画像を得ることが可能です。さらに撮影法を工夫する事で造影剤を使わず血管を描出するMRAなどのような特殊な画像も得ることができます。
今回ご紹介するのはその中の一つ MR ハイドログラフィ という方法です。
MR ハイドログラフィとは?
T2強調画像は水を高信号で描出しますが、撮影時に水をより強く高信号にすることで周囲の組織を抑制しつつ水のみが画像化されます。これがMR ハイドログラフィです。
当院でも様々な部位でこの撮影を行っています。いくつかご紹介していきます。
MRCP(MR cholangiopancreatography:MR胆道膵管撮像法)
胆汁、膵液を対象とした手法です。胆嚢、胆管、膵管を描出します。
当院では細かいスライスと厚いスライスの2種類を撮影することで局所の観察と全体像の把握を行なっています。
腹部の撮影のため息止めが必要となりますが、上手く息が止まらない場合は自由呼吸下でも撮影可能です。
胆石や胆嚢炎、総胆管結石膵がん、胆道がん、胆のうがんなどの疾患で活躍する撮影です。結石の部分は通常類円形の欠損像として描出されます。手術前に胆管膵管の走行を把握するのに役立ちます。
MRU(MR urography:MR尿路撮像法)
尿路の全体を描出する手法です。
経静脈性腎盂造影(DIP)でも尿路を撮影できますが、MRUでは造影剤を使わず検査可能です。尿管結石や尿路腫瘍などで拡張された尿管の描出と閉塞部の同定に役立ちます。
また、連続的に撮影をすることで尿の流れを観察することもできます。
MR ミエログラフィ(MR脊髄撮像法)
脳脊髄液を対象とした手法です。脊柱管内の脊髄を描出します。
X線でもミエログラフィがありますが、MRIでは造影剤を使用せず侵襲性なく検査可能です。
椎間板突出などで脊髄が圧排されているところが欠損像として観察できます。
息止め不要で10秒程度で撮影が可能です。
MRC(MR cisternography:MR脳層撮像法)
こちらも脳脊髄液を利用した手法です。微細な脳血管や脳神経を脊髄液の中に陰影像として描出します。
スライス厚をとても薄く(0.8mm)撮影するため脳神経由来の腫瘍を見つける場合や、血管が神経を圧迫していないかを観察する際に有用です。撮影後に白黒反転する事で血管と神経を白く描出することも可能です。
MRIの少し特殊な画像についてご紹介させていただきました。
この様にMRIは工夫によって様々な撮影が可能となります。より良い画像を提供するためにこれからも励みたいと思います。