金属アーチファクト低減処理(MAR)を紹介します


当院に新しく導入されたRevolution HD(GE社製64列CT装置)に搭載された
“金属アーチファクト低減処理(Metal Artifact Reduction)”
についてご紹介します。

従来のCT装置では、金属によるアーチファクト(障害陰影)を軽減する方法がない為、人工骨頭や人工関節、ペースメーカーなどの体内金属を含む撮影において障害陰影を回避することが出来ませんでした。しかし、今回搭載されたMAR処理を行うことで体内金属により生じるアーチファクトを軽減し、画像をより明瞭に描出することができるようになりました。今回は当院で実際に経験した症例をご紹介したいと思います。

Case 1 頭部血管内治療後(コイリング後)の評価

頭蓋内コイルの周囲にハレーション(青丸:金属周囲が白くなっている部分)とダークバンド(赤丸:金属周囲の黒くなっている部分)によるアーチファクトが大きく発生しその周囲の状態が確認できませんが、MAR処理後は前述のアーチファクトが軽減され確認できる範囲が広がっています。コイリング後の出血の有無を評価する範囲が広がり、診断精度の向上につながると考えられます。

Case 2  左下腿骨手術後(プレート固定後)の評価

Axial像(一般的な輪切り画像、横断)で赤矢印部分にアーチファクトが確認できます。これをCoronal像(冠状断)で確認すると赤丸で囲った部分となります。さらに3D画像構築を行うとアーチファクトにより骨折線の一部に不明瞭な場所(青丸で囲った部分)が生じています。
しかし、MAR処理後はそれらのアーチファクトがすべて抑制され、より明瞭になっています。このようにMAR処理はAxial像(横断)だけでなく、Coronal像(冠状断)やSagittal像(矢状断)、さらには3D画像等の画像作成に対しても有効な技術です。