デュアルエナジーCT装置始動しました


昨年末に設置工事が完了し、1月より本格的に新しいCT装置のほうが動き出しましたのでご報告します。今回設置されました装置は、GE社製のデュアルエナジー装置で、Revolution HD GSIと呼ばれる装置です。1管球型と呼ばれるデュアルエナジー装置の中では最も実績のある装置となっています。

デュアルエナジーCTとは
デュアルエナジー装置というのは、2種類のエネルギーを使用して撮影が可能な装置のことです。X線発生装置でエネルギーを変化させたり、2つの発生装置を利用したりするなどの方式があります。ご存知かもしれませんが、X線にはエネルギーというものがあります。そしてそれはエックス線を発生させるときの電圧のかけ方で変更することができます。

エネルギーが違うと画像が変わる
エネルギーを変更することによって、エックス線の透過能力が変わり画像の見え方が変わってきます。たとえば胸のレントゲン撮影ですが、胸のレントゲン撮影ではレントゲン室で撮影する時と、ポータブル装置を用いて病棟で撮影する時とでは使用するエネルギーが違います。なぜ使用するエネルギーが違うのかということはここでは触れませんが、これによって画像の見え方が変わってきます。以下の画像はエネルギーを変えて撮影したレントゲン画像です。このように骨が見やすかったり、肺が見やすかったりします。そして、これを引き算することで一つのものに焦点を当てた画像を作成することができます。これがデュアルエナジー技術の基本となります。

造影剤を明瞭にできます
CTでもこのように2種類のエネルギーで撮影を行うことで造影効果を強調したりすることが可能です。この造影強調効果はデュアルエナジーCTで最も利用されている技術の一つであると思います。こちらは当院の装置で撮影されたものですが、ひとつのエネルギーで撮影された画像と比べ、造影効果を強調し腫瘍を見やすくするような画像も得ることができます。この技術を逆手に利用することで造影剤量を減らすことも可能です。

基礎技術の向上でさらにレベルアップ
2種類のエネルギーで撮影するので、被曝が2倍になるように感じるところですが、最近は技術の高度化によりその点も改善されました。それにより通常撮影(デュアルエナジーではない撮影)では今までの4割少ない線量で撮影できるようになっています。それによって4D撮影や高解像撮影などができるようになり、それを生かすための3次元画像処理装置も大幅なバージョンアップをしております。これらについては次号以降でご紹介させていただきたいと思います。
(X線CT認定技師 保田 英志)

レントゲン画像http://www.innervision.co.jp/suite/ge/21healthcare/2010/1006_2/index.htmlより引用