高度化する放射線治療


今回は放射線治療の進化した背景についてご紹介したいと思います。現在の放射線治療の進化は目覚ましく、以前と比べることができないくらいに進化しています。その中で最も変化をもたらしたのが、マルチリーフコリメータが登場したことです。以前の照射では、照射をおこなう部位に対し、固形の鉛ブロック(モノブロック)を複数使用し照射野を形成し(図1)、これを照射装置のヘッド部分に取り付けて照射をおこなっていました。現在はマルチリーフコリメータがヘッド部内に装備され、一枚一枚の板を動かすことで病巣の形に合わせた照射がおこなえるようになりました(図2)。また安全面においても、以前のように治療中にブロックが落下するなどの心配もなくなりました。
マルチリーフコリメータの一番の利点は、リスク臓器への線量を減らす照射野が容易に作成できるようになったことです。この技術を利用することで、最近注目されている、SRT(定位的放射線治療)、IMRT(強度変調治療)、IGRT(イメージガイド下放射線治療)などの高精度で高技術な放射線治療が可能となりました。こちらの方は随時紹介していく予定であります。さらに現在では、マルチリーフコリメータも進化しており、放射線遮蔽能力の向上や運動性能の向上(移動スピード)などが大幅に進化しております。
当施設に入る治療装置にも最先端の技術が搭載されたマルチリーフコリメータが装備されていますので体に優しく安心できる放射線治療がご提供できると思います。

マルチリーフコリメータ