特集MRI:コイルは地味だが役に立つ!


MRI用コイルってご存知ですか?

MRIは強い磁場の中に身体をおき、電磁波(RFパルス)を人体に照射したり断ったりを高速に繰り返しおこなって撮影しています。この電磁波送信の繰り返しによって、人体の水素原子から信号(FID信号)が放出され、この微弱なFID信号をMRI用コイルで受信し、演算処理をすることでMRI画像が出来上がります。
つまりこのMRI用コイルは高感度な受信アンテナで、なくてはならない物なのです。自宅で地上波を見ようとする時に、電波を受信するアンテナが必要ですよね。また、電波の感度が良ければノイズものらないはずです。MRI用受信コイルも同じようなものと考えてよろしいかと思います。ということで、今回は地味ではありますが、MRI撮影にとって重要なこのMRI用コイルについてご紹介したいと思います。

FIDandImaging

MRI用コイルといっても、種類がたくさんある事をご存知でしょうか?一般的なのは、頭部用コイル・脊椎用コイル・腹部用コイルだと思います。これに加え当院では整形領域のコイルも使用しています。次にそれぞれのコイルを紹介します。

HNS

BodyandCardiac

ShouldrKnee

関節用コイル

膝関節には前十字靭帯、後十字靭帯、外側・内側側副靭帯、半月板、滑膜、などの観察すべきポイントが多くあります。
何気なく撮影しているような画像でも、きちんとしたポジショニングをすることで描出能に違いがでるため、診断に影響することがあります。例えば、前十字靭帯の描出方法です。
通常、前十字靭帯は膝関節を少し曲げることでピ-ンと張ります。靭帯が張った状態にすることで靭帯断裂などの評価がしやすくなります。また、外側にわずかに傾けることで前十字靭帯を1スライス内におさめ、靭帯を連続して描出することが出来、評価しやすくなります。
膝関節用コイルはこの様なポジショニングが簡便に出来る形をしています。

KneeCoil

今回紹介した膝用コイルだけでなく、専用コイルは非常に使いやすく画質の向上・仕事の効率化が計れる有用な道具です。また、正しく診断がおこなわれるように我々放射線技師も解剖をよく理解して検査をおこなうことを心掛けています。
専用コイルは他部位への応用も可能なので患者さんごとに最適なコイル選択をおこない安全・安心なMRI検査をおこなっております。
(救急撮影認定技師 平野 謙一)