特集MRI:薬を使わないでできる脳血流検査  ASLを紹介します


MRIで脳血流診断?

脳血流の評価というと、放射性核種を用いて血流量を定量評価する脳血流シンチがゴールドスタンダードです。当院の核医学検査でも行っている検査ですが、当院のように核医学検査装置を有している施設でなければ検査ができません。MRIで脳血流が評価できないかという事で、造影剤を使って脳血流を評価する方法(dynamic susceptibility contrast:DSC法)があります。DSC法は造影剤が脳血管内に流入する状態を撮影し続けます。しかし、解析方法の自動設定が難しく、定量値が撮影法に依存すること、定量値に誤差が生じやすいなどの問題点があり、精度の高い安定した定量値を得ることは難しいため、定性的な評価に利用されています。
近年、造影剤を使わずに脳血流評価が行えるASL (arterial spin labeling)法が普及してきました。ASLの研究自体は古く約20年の歴史がありましたが、装置の高性能化・高磁場強度の装置の登場により、ようやくソフトウェア技術が追いついてきました。造影剤が不要で、放射線被ばくも無く、非侵襲的に繰り返し検査することが可能で、当院のプロトコルでは約2分で撮影する事が可能です。

なぜ注射なしでOKなのか?

原理は頸部血管にラジオ波を照射して血液内のプロトンをラベリング(磁気的に標識)します。このラジオ波をラベリングパルスと呼びます。ラベリングされた血液が脳組織に到達するまで待った後、高速に画像収集を行います。ラベリングパルス「あり」の時と「なし」の時の差を解析するとわずかな磁場の変化がみられます。この違いが入ってきた脳血流の違いとして描出され、核医学検査のような脳灌流画像を取得する事ができます。ラベリングされた血液が造影剤代わりとなることから、適切なタイミングで撮像されていないと結果が正しくなくなる恐れがあります。

図1
InnervisionHPより引用

どのタイミングで撮影するのか?

ラジオ波でラベリングされた血液が脳組織に到達してから画像収集までの時間をPLD(post label delay)といいます。臨床では血流速度に個人差や左右差があることから適切なタイミングでの撮影が難しいときがあります。その為、原則としてPLD=1525msec(1.5秒)とPLD=2525msec(2.5秒)の2つのタイミングで撮影をしています。血流速度の速いものを反映しているのがPLD1525msecの画像、遅い血流を反映しているのがPLD2525msecであると考えられます。(当院症例:Case5をご参照ください)

図2
各種脳還流画像検査法の特徴(表:八重洲クリニック様HPから引用改変)

当院での症例

50歳代女性 左方麻痺 救急車で当院に搬送された。
CTでは異常所見なく、MRIを施行された。
拡散強調画像で淡い高信号、MRAで右MCAに狭窄が疑われ、ASL画像にて右中大脳動脈支配領域に一致した血流低下が疑われた。DSA検査を施行後、血管内治療が行われた。

図4

図5

図8

 

 

 

肝MRエラストグラフィ


肝硬変を初期に発見することの重要性
日本では、肝炎ウィルスによる肝硬変の発症がおおいですが、アルコールやカロリーの撮り過ぎなどによる脂肪肝から重度の脂肪肝、そして肝硬変へと至るケースもあります。肝硬変は、肝がんを誘発させることから、早期の段階で肝硬変を把握し治療へつなげることは重要です。
肝臓MRエラストグラフィは、肝臓の硬さを定量化し、肝の線維化を把握することができる新しい画像診断法です。

図1