TAVIはじまりました


以前にご紹介させていただきましたが、当院ではTAVI(Transcatheter Aortic Valve Replacement 経カテーテル大動脈弁留置術)を行えるように準備をしてまいりました。さかのぼること3年前、カテーテル室更新に伴い、これからはTAVIもできる病院にしていかなければいけないと、カテーテル室をハイブリッド手術室に改装することとなりました。ハートチームの発足・施設認定の取得と段階を踏み、2019年10月31日、ついに1症例目を迎えることができました。指導医のもとTAVIを施行し、合併症なく手技を終わることができ患者さんも無事退院しております。

新たな選択肢“TAVI”

大動脈弁狭窄症に対する治療法は3つの選択肢があります。
・保存的治療(投薬治療)…症状が軽い場合 緩和や進行の抑制
・開胸手術(弁置換術)
・TAVI(経カテーテル治療)
根本的治療には開胸手術かTAVIを行いますが、現在の日本における第一選択は開胸手術です。TAVIは2013年10月保険適用となり選択肢に加わりました。開胸をせず人工心肺も不要な手技なので、開胸手術に比べて低侵襲です。そのため入院期間が短く、患者さんの比較的早い社会復帰が期待できます。高齢による体力の低下や、その他の疾患などのリスクを持っているため開胸手術を受けられない方の新たな選択肢となります。

手技が始まる“前”こそ重要!

TAVIは合併症を起こすとその死亡率はかなり高いものとなります。特に気を付けるべき合併症としましては、アクセスルートの損傷・弁輪部の破裂・左室損傷・冠動脈閉塞・人工弁の脱落等があげられます。これら重症化し得る合併症につきましては、術前の計画を正確に行うことである程度予測・回避できることが知られています。そこで重要視されているのが術前CTによる計測です。一度の検査でアクセスルートの評価と大動脈弁や冠動脈の情報まで得ることができます。主に計測するものとしましては、アクセスルートの血管径や性状、大動脈弁輪部や大動脈基部の径、弁輪部から冠動脈入口部までの高さなどで、コンマ何mmの単位で計測していきます。

術前の計測が手技の成否を決めるといっても過言ではないといわれていますので、撮影から計測、手技にわたり携わる我々放射線技師の役割は重大であると考えます。今後もより一層気を引き締めて精進していきたいと思っています。
また、TAVIの認定は3年ごとの更新制で症例数が規定数に達していないと継続して手技を行っていくことができません。3年間でTAVI 60件、AVR 60件、経食道心エコー 600件等かなり厳しい条件となります。先生の日々のご診療のなかで大動脈弁狭窄症の疑いがありそうな患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひ当院にご紹介いただければ幸いです。TAVIの適応は大きく①重症度の高い大動脈弁狭窄症であること②開胸手術の適応でないことの2つですが、その他様々な要因を考慮して適応判定を行います。(詳しくはEdwards TAVI医療従事者向けサイト tavi-web.com./proffesionals/indication/を参照ください)よろしくお願い致します。
血管撮影・インターベンション認定技師 放射線技術科主任 北畠 太郎