横浜栄共済病院では3Dマンモグラフィ装置を導入しました


2015年3月下旬より、フラットパネルディテクタ式乳房X線撮影装置 Hologic 社製 Selenia Dimensionsが導入されました。

図1

トモシンセシスとは?

トモシンセシス(tomosynthesis)とはtomography(断層撮影)とsynthesis(統合、合成)の二つの言葉・意味から作られた造語であり、一回の撮影で多方向からX線を照射(断層撮影)した後に画像を再構成する新技術です。
従来の撮影(2D)では、1枚のフィルムに乳房の全てを写し出していたので、乳腺組織に病変が隠れたり、乳腺の重なりが病変のように見えることがありました。
トモシンセシス機能はマンモグラフィの情報量を格段に増やすことを可能にし、乳腺実質の重なりという弱点を打開する新たな技術です。病変の検出、辺縁の詳細な描出、広がりの把握等に有効となり、今まで以上に精度の高い診断が可能となります。

トモセンシシス
2D画像(左)では所見は何もないように見えますが、トモシンセシス画像(右)を見ると境界が明瞭な腫瘤(赤丸の部分)を認めます。

トモシンセシスの撮影方法

乳房を従来と同様に圧迫し、圧迫した乳房に対してX線管球を中心から-7.5度~+7.5度まで移動(図3)しながら1度ごとに1照射を行い、計15回照射します。その後、 X線管球が中心に戻り2D撮影を行います。よって、一度の圧迫で2D+3D撮影が 完成します。一連の撮影時間は約7秒程度です。
トモシンセシス機能撮影が可能な装置は、現在では4社から発売されています。
各社ごとに特徴があり、X線管球の振り角や照射回数、撮影時間、被ばく線量、3D画像の再構成法等が異なります。その中でも、 Selenia Dimensionsは最も短時間で撮影ができ、受診者にも操作者にもかかる負担はさほど多くはなりません。

図1

被ばく線量

トモシンセシスは多数回の撮影をするので、被ばく線量が問題になりますが、 Selenia DimensionsではHTCグリッドの採用や、乳房圧や撮影モードに合わせて自動的に線質フィルタが選択される機能などの被ばく線量を軽減する工夫がなされ、低線量照射が可能となっています。
42mm厚乳房において平均乳腺線量(AGD)は2D撮影1.3mGy、3D撮影1.5mGy、 合計して2.8mGyです。マンモグラフィガイドラインで決められているAGDが3mGy以下という基準を満たしています。

乳がん罹患率は増加しています

2014年現在12人に1人の女性が乳がんに罹患すると言われており、日本人女性が最もかかりやすい“がん” です。次回のニュースレターを担当させて頂く時には、当院でのトモシンセシス使用経験をお伝えできることと思います。
どの様な臨床症例を経験し、トモシンセシスの有効性をお伝えできるか、また、1人でも 多くの患者さんが早期発見に繋がることを期待しながら検査に務めたいと思います。
(検診マンモグラフィ撮影認定技師 塚川 知里)