ダットスキャン(DAT-Scan)がまた一歩前進します ~「DAT View」のバージョンアップ御報告~


ダットスキャンの解析アプリケーションソフトである「DAT View」がこのたびバージョンアップされました。今回はバージョンアップで新たな展開を迎えることができたので、その経緯と内容につきまして簡単に紹介させていただきます。

<DAT Viewとは?>

「DAT View」ではダットスキャンのSPECT画像の解剖学的標準化および正規化を行い、使用RI(123I-Iofulpan)の線条体への集積と線条体以外の脳実質への集積比を指標として算出します。SBR(Specific Binding ratio)と定義され、投与された放射性医薬品(DATスキャン:123I-イオフルパン)の線条体への集まり具合を数値化して評価する方法で線条体以外の部分、すなわちバックグラウンド(BG)を1とした場合の線条体の集積比を数値とします。線条体全体の集積が下がると疾患として有意であるとされています。また左右の尾状核や被殻への集積差について神経症状との関連も評価を行っています。

<正常データベースを利用した評価が可能に!>

「DAT View」のSBRについては基準値等につき広く検討されてきましたが、昨今特に高齢者について年齢の増加によるSBRの低下の報告が多数挙がり、各年齢群にて健常者のSBRを求める研究が課題とされてきました。今回そのような背景を踏まえ、「DAT View」のSBRについて年齢群に応じた基準値を正常データベースに照らして評価する方法が新たに加わりました。さらに年齢群のデータベースを活用するに至り、国立精神神経医療センターで有するデータに対して共通のファントムによる収集を行って相関を求める機器間補正を行い、国立精神神経医療センターのデータベース活用が可能となりました。
年齢群の平均値とZ-Scoreの上限下限をプロットすることで求められたSBRが年齢群に対して正常の範囲にあるか否かを判定することが可能となります。実例を紹介します。

今回「DAT View」のバージョンアップを経てダットスキャンによる診断は一歩進んだステージを迎えました。また新しい展開がありましたら、ニュースレターの場をお借りしまして紹介させていただきます。

核医学専門認定技師 荒田 光俊