知っているようで知らない マンモグラフィーの基礎⑤ マンモグラフィーの弱点


マンモグラフィーの弱点

第2回で高濃度乳腺を、第4回ではFAD(局所性非対称陰影)についてとりあげました。マンモグラフィは高濃度乳腺が苦手です。マンモグラフィでは乳腺実質は白く描出されますが、腫瘍も白く描出されるため高濃度、不均一高濃度乳腺では病変がはっきり認識できないことがあります。

マンモグラフィで「がん」がどの程度描出されるのでしょうか。宮城県は全国にさきがけてがん登録を行っている数少ない自治体のひとつです。その宮城県では検診発見乳がんと中間期乳がんを合わせた解析を行い、マンモグラフィの感度を算出しています。(グラフ)

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乳腺の構成別にみると、脂肪性乳腺では感度91%であるのに対し、高濃度乳腺で51%にとどまります。40歳代ではマンモグラフィの感度は59%でした。60歳代の81%と比較するとかなり低いことがわかります。若年であるほど高濃度、不均一高濃度乳腺の割合が多いためと推察されています。

マンモグラフィーの弱点はどう克服する?

トモシンセシス撮影

マンモグラフィーの断層撮影のような画像を得ることができ、乳腺の重なりの影響を排除できます。当院では2015年3月より乳腺外来診療に、2016年4月より人間ドック部門の健診にトモシンセシスを導入しています。

超音波検査

40歳代女性に対する乳がん検診においてマンモグラフィを行う群とマンモグラフィに超音波 を加えた群の検診成績を比較し乳房超音波検査の有効性を検証するランダム化比較試験(J−START)の結果が昨年発表されました。マンモグラフィ群0.33%の乳がん発見率に対し超音波を加えた群では0.50%で、乳がん発見率が改善したと報告されています。

従来法とトモシンセシス

トモシンセシスは紙芝居のように、コマ送りの動画で読影するため、紙面で再現するのは難しいのですが、マンモの「やぶにらみ」を減らすには有効な手段と考えております。

従来法とトモシンセシス
従来法とトモシンセシス
写真1 不均一高濃度の背景乳腺
写真1 不均一高濃度の背景乳腺 左MLO 黄色で囲った部分に病変があります
写真2 従来法とトモシンセシス
写真2 従来法とトモシンセシス 従来法のマンモでは石灰化しか描出されません。トモシンセシスでは石灰化の背景にある腫瘤まで明瞭に描出されています
写真3 乳腺散在の背景乳腺 写真3の右MLO 黄色で囲った部分が対側に比べ白く描出されています。局所的非対称性陰影、カテゴリー3と判定されます。トモシンセシスでみると、乳腺の重なりと判定できました。精密検査の際は超音波検査も行います。非対称性陰影と考えられた部位には、超音波検査では病変を認めませんでした。超音波検査もこのような所見の鑑別診断には有効な手段です
写真3 乳腺散在の背景乳腺
写真3の右MLO 黄色で囲った部分が対側に比べ白く描出されています。局所的非対称性陰影、カテゴリー3と判定されます。トモシンセシスでみると、乳腺の重なりと判定できました。精密検査の際は超音波検査も行います。非対称性陰影と考えられた部位には、超音波検査では病変を認めませんでした。超音波検査もこのような所見の鑑別診断には有効な手段です

マンモグラフィ専用ビューワー

マンモグラフィは乳腺を折りたたんで撮影するので、マンモグラフィに描出されている病変が乳房のどの辺りに位置するかを推定することは、意外に難しいものです。当院で採用しているマンモグラフィ専用ビューワーMammodite®(Netcamsystems)には、病変の位置推定機能があり、簡便に気になった病変の位置を推定することができます。(図1)

図1 Mammodite®(Netcamsystems)
図1 Mammodite®(Netcamsystems)

超音波検査を行う際、超音波検査技師がマンモグラフィ読影結果を参照して病変位置を推定しながら検査を行うとより正確な診断にたどり着くことができます。検査方法の特徴を知って、うまく組み合わせることが肝要です。

外科乳腺甲状腺担当部長
俵矢 香苗