知っているようで知らない マンモグラフィの基礎③


石灰化=がん それは間違いです!!

マンモグラフィーでよくみかける石灰化。石灰化があると必ずがんが隠れているのでしょうか??今回は、知っているようで知らない「石灰化」を掘り下げてみようと思います。

「石灰化」とは文字通り組織にカルシウムが沈着してできた構造物です。マンモグラフィーにうつっている石灰化それ自体は結晶化したカルシウムです。がんに関連する石灰化であってもそれは同じです。どうも石灰化という用語が一人歩きしていて、一般の患者さんのなかには石灰化=がんだと思い込んでしまっているかたもよくいらっしゃいます。もちろん石灰化=がん細胞が描出されているのではありません。石灰化、つまりカルシウムの結晶がどのような機序で生成され、その周囲がどんな構造かが問題なのです。それは良性のこともあるし悪性のこともあるのです。

石灰化はみつけるのは簡単! みつけたあとの良悪性の鑑別診断が重要

マンモグラフィ上には、皮膚、乳腺、乳腺周囲の結合組織、脂肪組織等が描出されています。それぞれの組織ごとにX線吸収度が異なりその違いがマンモグラフィーでは白〜黒のグラデーションで表現されます。乳がんのX線吸収係数は0.85cm-1/20keVです。それに対し正常の乳腺組織は0.80、脂肪組織は0.45、微小石灰化は12.5です。背景乳腺が高濃度乳腺であっても脂肪性乳腺であっても石灰化をマンモグラフィー上で見つけることは比較的簡単なのです。前回背景乳腺濃度のお話しをしました。背景乳腺が高濃度だと、がんがあっても腫瘍そのものが視認しにくいことがあるのですが、そんな場合でも石灰化はよく見えます。高濃度乳腺や不均一高濃度の乳腺ではがんの本体は見えなくても石灰化のみが見えてがんが見つかることもしばしばあります。
しかし石灰化は数からいうと良性変化に伴うものが圧倒的多数で、がんに伴うものは一部です。ほとんどのマンモグラフィーでなんらかの石灰化がうつっています。全く石灰化のうつっていないマンモグラフィーを探す方が難しいくらいです。石灰化は見つけることよりも、鑑別診断がキモなのです!!

良悪性の鑑別のポイント1  大きい石灰化(短径5mm以上のもの)はまず良性

図2

良悪性の鑑別のポイント2  ミリ単位の微小石灰化は良悪性の鑑別が必要

乳がんに関連する石灰化のほとんどは、乳管内のがんに生じます。乳管内のがんに起こる石灰化の生成機序は大きく分けて2通りあります。一つは乳管内に生じたがん細胞が増殖した結果、乳管の中心部で腫瘍壊死が起こり、壊死組織に石灰が沈着する「壊死型石灰化」です。壊死型石灰化=がんの石灰化と考えてよいです。もう一つは、乳管の管腔や篩状構造をとったがんのなかの管腔構造の中に石灰分を含んだ分泌物が貯留し、その分泌物の中に石灰の結晶が析出する「分泌型石灰化」です。

壊死型石灰化=乳管内を埋め尽くしたがんの中心が壊死してその内部にできる。

図4

分泌型石灰化=乳管内の分泌物に石灰の結晶が析出

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良悪性の鑑別のポイント3  規則性をもった分布は乳がんの可能性が高い

図7